アメリカで家を借りる
アメリカで暮らす上で必ず必要になる家について、今回は賃貸に絞って探すところから実際に住むまでの流れを紹介します。
アメリカの家賃相場
家賃が安くなる9月〜11月が狙い目
アメリカの物件の多くは変動価格となっていて、申し込み日と契約期間によって家賃が変わります。
アメリカの新学期は9月から始まるため、その前の5月〜8月は家賃も上がります。反対にホリデーシーズンが近づく9月〜11月は家賃相場は下がります。
アメリカ各都市の家賃相場や季節による変動はzumperで簡単に調べられます。例えば今住んでいるエリアの2022年11月19日時点の家賃と広さの平均はこんな感じ。円換算は今の為替レート(1ドル=138.5円)で計算。
- Studio(ワンルーム):2,675ドル(370,488円) 676 sq.ft. (62.8平米)
- 1ベッドルーム(1LDK):3,030ドル(419,655円) 629 sq.ft. (58.4平米)
- 2ベッドルーム(2LDK):3,780ドル(523,530円) 910 sq.ft. (84.5平米)
- 3ベッドルーム(3LDK):4,475ドル(619,787円) 1082 sq.ft. (100.5平米)
2LDKで52万円!?しかもそれほど広いわけでもないのにめちゃくちゃ高いですね。日本で一番高い港区が2LDK/3K/3DKで平均30万円なのでその1.7倍。東京23区で一番安い足立区ならその5.2倍の家賃です。(笑)
元々高いのですがさらにコロナ禍で家賃が高騰していて、いずれも去年同時期より15%以上高くなっています。
仲介手数料
不動産会社に賃貸物件を仲介してもらう際、ボストンの仲介手数料は家賃の1ヶ月分が標準ですが、契約期間が6ヶ月未満の場合は1/2ヶ月分などになることもあります。
なおアメリカでは次に紹介するZillowなどの不動産情報サイトを利用したり、自ら物件に問い合わせることで、不動産会社を介さずに仲介手数料なしで契約できる場合も多いです。
私もZillowで今の家を見つけて直接契約したので、仲介手数料はかかりませんでした♪
不動産情報サイトZillowを利用する
不動産情報サイトZillowとは
いくつもの不動産情報サイトがありますが、アメリカ最大の不動産情報サイトのZillow.comがおすすめです。日本でいえばSUUMOのようなサイトで、取り扱う物件数はなんと1億3500万件以上もあります。
他に、競合サイトのApartments.comもよく検索で出てきますが、情報が正しくないことが多いので個人的には全くおすすめしません。また現地の不動産エージェントの方も信頼できないと言っていました。
Zillowを使った家の探し方
Zillowのスマホアプリをインストール
もちろんPCでもZillow.comで検索することはできますが、スマホアプリの方が使いやすいのでおすすめです。
Zillowアプリで希望のエリアの家を検索
アプリを開くと地図上に物件の家賃が出てきます。同じ建物に複数の物件がある場合は「6 units」のように数が表示されます。これを選択すると物件の詳細を見ることができ、そのまま内見申し込みまでできます。簡単です!
ただこのままでは数が多いので、右上のフィルターを使って絞り込みます。例えば以下の条件で絞り込むとこんな感じ。
- ベッドルーム:1〜2
- バスルーム:1〜
- 家のタイプ:アパートメント/コンドミニアム
- 設備:室内洗濯機
- 広さ:500 sqft以上
随分絞り込めました。
フィルターとしては以下のような項目で絞ることができます。
- 価格
- ベッドルーム数
- 日本でいうワンルームはStudio、1LDKは1ベッドルーム、2LDKは2ベッドルームに該当します。
- バスルーム数
- アメリカではシャワー、バスタブ(最近はない方が人気)、トイレ、洗面所の4つが揃っているバスルームをフルバス(1バスルーム)と呼び、トイレと洗面所だけのものをハーフバス(0.5バスルーム)と呼びます。そのため、バスルーム数は1.5や2.5などもあります。
- 家のタイプ:House(一軒家)、Townhomes(家族向けの低層アパート)、Apartments/Condos/Co-ops(アパートやマンション)
- Apartments/Condos/Co-opsの3つの呼び名はオーナーの所有形態の違いのみで、すべて日本でいうアパートやマンションのこと
- ペット飼育可否
- ペットの飼育料が必要な場合もあります。(犬1匹あたり75ドル/月など)
- 駐車場
- 室内洗濯機
- アメリカでは共同ランドリーの家も多くあるので、個人的には必須項目!
- 周辺の学校情報(学力レベルの指標とされる10段階のGreatSchool Ratingも選べます)
- 部屋の広さ
- 建物の広さ
- 築年数
- 日本と違い古い家が多いですが、中はリフォームされていることが多いです。
- 地下室:なし/Unfinished(コンクリートのまま)/Finished(ちゃんとした地下室)
- A/C(エアコン)
- 古い家だとエアコンなしの家も多いです。その場合は窓に取り付けるタイプを購入することになります。200ドルくらい。
- プール
- 眺め(街/山/公園/水辺)
- 掲載日数
物件の詳細情報を確認する
フィルターで絞ったらそれぞれの物件の詳細を見ていきます。同じ建物に複数の部屋がある場合は以下のように一覧で出てきます。
アメリカの家探しで驚いたのは、下のように3Dビューで室内を見ることができることです。全ての物件ではありませんが、間取りや写真ではわからない部分まで確認できて非常に便利です。さらに採寸もできます。
内見の申し込み
気になる家が見つかったら早速アプリからTour(内見)を申し込んでみましょう。内見したからといってその場で決める必要は全くないので、いくつも見比べてみるのが良いと思います。
私はいろんなエリアの家を20件近く見て今の家に決めました。
なお、それぞれの物件にはAvailable Date(入居可能日)の記載があります。物件によっては現在の入居者が退去する前に内見できる場合もありますが、退去するまで見せてもらえないこともあります。そのような場合は、共用部分と別の部屋を参考に見せてくれます。
またアプリから申し込みができるとはいえ、担当者の方と連絡を取り合うために事前にアメリカの電話番号を取得しておきましょう。最終的に契約時にも電話番号が必要になります。
内見で確認するポイント
内見では以下についても確認しておくとよいです。
- 部屋の設備が故障していないか
- 故障していれば入居前に修理してもらう必要があります。
- シャワーの水圧
- 水道代が家賃に含まれていることが多く、シャワーの水圧が弱い場合があるので要チェック。
- バスタブの深さ
- 浅い湯船が多いですが、湯船に浸かりたいなら深めを。
- エアコンの稼働音
- アメリカのエアコンはとにかく音が大きいです。実際に稼働音を確認するのがおすすめです。
- 室内洗濯機/乾燥機の位置
- へんな場所にあることがあるので注意。ウォークインクローゼットの中にあることもあります。(笑)
- 郵便ポストの場所
- ある程度の規模のアパートであれば問題ありませんが、古く戸数の少ないアパートではポストがない場合も。玄関に放り投げられるパターンです。
- 宅配便の受け取り方法
- ある程度の規模のアパートであれば受付にコンシェルジュがいて、宅配便を受け取っておいてくれます。宅配ボックスがあるアパートもあり。
- 家賃以外にかかる費用
- 電気、ガス、水道、ケーブルテレビ、電話、インターネット、駐車場代、HOA(管理組合費)、雪かき(寒い地域だけ)などは家賃に含まれているか。
掲載写真とずいぶん状態が違うことも多いので、契約をする際は内見するか、少なくとも3Dビューで確認できた物件にするのを強くお勧めします。
私が決めた家は当時まだ入居者がいたため内見できなかったのですが、運営会社から実際の部屋の写真とウォークスルーの動画を送ってもらえました。
不動産情報サイトにない物件を探す
Zillowなどに掲載されない物件もある
Zillowなどの不動産情報サイトが広く利用されているとはいえ、掲載するためにはオーナー側は手数料を支払う必要があります。そのため、新しく戸数の多いアパートでは不動産情報サイトに全てを掲載していないことも多いです。そのような場合は、アパート独自のWebサイトに物件情報を掲載していて、リーシングオフィス(運営管理会社のオフィス)がアパート内にあるので直接連絡することもできます。
また、それぞれのエリアの雰囲気が掴めてきたら、特に気になるエリアを実際に歩いて良さそうなアパートを探してみると良いです。また、実際に歩かなくてもGoogle MapやApple Mapの3Dビューやストリートビューで物件を探すのもおすすめです。
申し込みと契約
アメリカの賃貸契約の申し込みに必要なもの
気に入った物件が見つかったら申し込みをしますが、その際以下のものが必要になります。今はオンラインでの申し込みが一般的です。
- セキュリティデポジット
- 仮押さえのためのデポジット。我が家の場合は1000ドルで、あとから入居月の家賃に充当されました。
- パスポート(ビザ)
- ソーシャルセキュリティナンバー
- 雇用証明書(給与などが記載されたもの)
- 銀行の残高証明書(我が家では求められなかった)
- アメリカの電話番号
- Renters Insurance(賃貸保険)
- いわゆる家財保険です。基本的に入居日にアパートの基準をカバーする保険に加入している必要がありますが、アパート独自の保険を用意していることもあるので事前に確認してみてください。
- クレジットヒストリー
- クレジットヒストリーができるまで、アメリカでクレジットカードを発行してから数ヶ月ほどかかるため、渡米直後は代わりに追加のデポジットなどを求められることがあります。
私もクレジットヒストリーがまだなかったので、退去月分として家賃1ヶ月分のデポジットを求められました。返ってくるので良いのですが、おかげで初期費用がかさみます。。
賃貸契約を結ぶ
無事審査を通って申し込みが受理されたら、先方からオンラインで契約書が送られてきます。当然全て英語ですが、しっかり内容を確認しましょう。特に以下の点はよく理解する必要があるので、不明な点があれば先方に必ず確認します。
- 契約期間
- 家賃
- 途中で引っ越す場合の違約金発生の条件
- 家賃に含まれている費用と別で支払う費用
- 電気、ガス、水道、ケーブルテレビ、電話、インターネット、駐車場代、HOA(管理組合費)、雪かき(寒い地域だけ)など
- レンターズインシュランス(物損保険)の条件
- 日本の火災保険のようなものです。基本的に入居日にアパートの条件をカバーする保険に加入している必要がありますが、アパート独自の保険を用意していることもあるので事前に確認してみてください。
入居
入居日までに必要なこと
契約まで完了すればあとは引っ越し!なのですが、やることはまだいろいろとあります。例えば以下のような準備が必要です。
- 入居日を確定し引っ越し業者に依頼
- 引っ越し業者のあてがなければ、引っ越し先の担当者に聞くと実績のある業者を教えてくれます。
- 戸数の多いアパートでは、引っ越し当日の搬出入のためのローディングドックや業務用エレベーターを事前に予約しておく必要があります。
- 家賃の支払い
- 契約内容によりますが、家賃は基本前払いで、入居月および翌月分は入居日までに支払いが必要になる場合があります。二回目以降の家賃の支払いについてはBILTも是非検討を!
- USPS(米国郵政公社)への転送依頼
- 電力会社と契約
- 電気料金が家賃に含まれている場合は不要です。
- インターネット会社(ISP)と契約
- 必要に応じてモデムやWiFiルーターを準備します。
入居後にやること
鍵をもらったら真っ先にやることは、部屋の確認です。トラブルを未然に防ぐためにもしっかり確認しましょう。
入居すると鍵と一緒にRental Inspection Checklist(賃貸確認チェックリスト)をもらいます。部屋毎に床、窓、ドア、コンセント、ライトなどの項目があるので、入居時点で何か不具合や傷、気になる点があれば記入します。これが後日および退去時に過失がないことの証拠になるので非常に重要です。併せて家具等を搬入する前に写真もいろいろと撮っておきましょう。
また、引っ越し後10日以内にUSCIS(移民局)に転居を報告する必要があります。オンラインで簡単にできるので必ず報告しましょう。それ以外にも会社や銀行、Amazonなどの住所変更も忘れずに。
今回は家探しから引っ越しまでということで長編になりましたが、快適な住まいを見つけるための参考になれば嬉しいです。